永遠回帰

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教育のありかたについての諸々の考察

 

 

 文明を作り上げる基盤の一つとして「教育」のありかたはとても重要である。 
 
政治や経済、社会の制度、文化など多様な要因はあれど、「教育」におけるその体制や在り方は人格の根本を作り上げる要因という意味で、より一層重要な要素である。...
  
  
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 経済的に貧しい家庭環境で育ったり、学校で十分な教育を受けられる状況がなかったり、ハンディを背負ったとしても、懸命な教育者や人格者のもとに育てられれば、むしろ通常よりも豊かな人生を送った人の例はヘレン・ケラーをはじめたくさんある。
 

 

逆に言えば、経済的に満たされ、十分な設備や資料の下で育っても、周囲に尊敬できる大人がいなければ、人生に対する積極的な意欲や健全な精神が育まれるのは難しいと思われる。
 

 保護者であれ学校教師であれ、教育者による虐待や搾取を受けた子は生涯その記憶を背負って生きていくことになるし、独裁者による一方的な統制やナショナリティの押しつけのもとに育った人間が過剰なイデオロギーを帯びて、独裁者への支持と国家間の戦争にまで至ることにもなりかねないことは歴史が物語っている。
  
 
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 こどもというのは、大人が思っている以上に敏感であることを私たちはつねに心に持っている必要がある。
 
こどもの知性や思考が発達し、十分な言語能力が得られるまでの間は、理性的に何かを叩き込ませたり教え込ませることは避けなければいけないと思う。
 
算数の九九や文字の記憶などは小さなうちからでも問題はないにしても、思考や理性が発達するまえになんらかの価値観や信条を教え込むようなことはあってはならない。
 
その価値観や信条が大人になっておかしいと気づいたとしても、感情や感覚の深いレベルで浸透しているが故になかなか抜けきれないであろう。
  
 
(故に、日本語をある程度なじませる以前に、あまり幼すぎるうちから英語を教えるのもあまりよくない。いくらグローバル時代でも、まずは母国語や自国の文化について十分に触れてからというのが筋ではないだろうかと私は思う。)
   
 
 
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 むしろ、こどもにとって大切なのは、周囲にいきいきと社会生活を営んでいる大人がいることそれじたいである。
 
周囲の大人が感じることや、やっていることをみてこどもは模倣して自分の体内にそれを取り込んでいく。 
 
 
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 こども自身が感じることを素直に表現することが許され、それが学校や家庭という社会秩序の中で、より良いことに繋がるのであれば、みずからルールを変えていくことやその提案をしてもいいのだということをこどもにはわかってもらう必要がある。
 
家庭や学校、社会のルールに「適応」させるだけでなく、人や社会のためになるならじぶんの思うようにルールを変えてもいいと、その難しさも含めて、そういう自由さを環境のなかで用意してあげること。
  
(なんでもかんでもこどもの言うことを許容して甘やかせばいいというものでもない。それは無関心と同じである。 
 
だから大人は、こどもの成長過程について深く顧慮する必要があるし、自分自身がその子の人生に与える影響をつねに心に持っていることが望ましい。 
 
こどもの頃に言われたことや起きたことは、大人になってからのそれよりずっとあとまで感覚として残るものである。)
 
 

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